ROCK YOU 7

  15, 2014 22:31
















ROCKYOU修正
















ユノさんが大学から出る時間まで、講義を終えてからだいぶ時間があった。
俺はバイトをして時間を潰し、予定の時刻になると東帝国大へ向かった。

「よー。チャンミン」

大学へ着くなり愉快な声で呼び掛けられた。
ユノさんが、傍らにガタイの良い男をふたり連れて歩いてくる。

「待たした?ごめん」
「いや、今来たばっかりっす」

俺たちの会話を、興味津々といった様子で見ていた男のひとりが言った。

「キミがチャンミン?」
「そうですけど」
「ユノから話は聞いてるよ。いい後輩ができたって大喜びだから、こいつ」
「はぁ……」

ユノさんはふたりの肩をたたいて言った。

「こいつらはシウォンとソンジン。学生の統括一緒にやってる仲間だ」
「どうも」
「よろしくお願いします」

体育会系のように情熱的な印象のシウォンさんと、対照的に知的で頭の回転がよさそうな、眼鏡をかけたソンジンさん。
ふたりとも、ユノさんの隣に並んでも劣らない程のオーラがある。
やはり、ハイレベルな大学の上層部の人間は違うなと思った。




「やっぱりユノさんって凄いや」
「何が?」
「ああやって並ばれると、ちょっとびびるっていうか」
「そうか?」
「はい」
「そんなん気にすんなよ」

ユノさんは言った。
上に立つと、誰もが自分を下から見上げるばかりで意見も反論もしないのを不服に思う。
だからミナちゃんの一件で、自分を恐れずに俺が言い返してきたことが嬉しかったと。
人間は誰しも悪い方向へ向く性質を持っているが、ユノさんの中にそんなものは見当たらないように思う。
トップに立っていても自分を過大視せず、周りと対等である事を望み意見を欲するユノさん。
一心にミナちゃんを大事に思っているのもそうだが、心が綺麗だと思う。
これって、惹かれてるんだろうか……

「ん?どうした」

ユノさんを見つめていると目が合い、俺は慌てて視線を反らした。



アパートに着くと、郵便受けに大きめの封筒が差し込まれていた。
先ほどまで明るかったユノさんの表情が一、転した。

「……すげーヤな予感する」
「とりあえず、中に入りましょう」

部屋に入ると、ユノさんは無言で封筒をみつめた。
今まで送られてきた写真の封筒よりも大きい。
中身を開ける瞬間は、冷や汗が伝うような緊張感があった。
中から出てきた物は、やはり写真ではなかった。

「……CDROM」
「聞いてみよう」

ユノさんがパソコンへCDをセットした。
止める事も出来たが、俺はそれをしなかった。
聞けば、犯人を突き止めるための手掛かりを掴めるかもしれないと思った。
しかし、再生された音声を聞いてすぐに聞いた事を後悔した。
その内容は、想像以上に酷いものだった。



『“チャンミン?メール見たよ。面倒くさいから電話かけちったーー……ーー……明日はちょっと無理だ。予定入ってんだよ。次の休みじゃ駄目か?ーー……ーー……会える時間、解ったら連絡する“』

『“ーー……ーー……ハッ、ハッ、ハッ、ハァ……ユノ、ユノ……ア゛、ア゛、アァ……ア゛ーッ……“』

『“ーー……狭いなーー……超狭いですねーー……でも、ちょっと楽しいなーー……どこがですかーー……こんなん始めてだもん。ミナに怒られるかもな。お前らが付き合う前に同じベッドで寝ちゃってさーー……解のわかんない事言わないでくださいーー……はは“』

『“ーー……ダレダ、ユルサナイ、ユルサナイ……ア゛ーッア゛ーッ……“』



そこで再生は終わった。
ショックのあまり言葉が出てこない。
盗聴された俺達のいつかの会話。
機械音声に加工された、悲鳴のような不気味な声。
送りつけてきた奴は完全に狂ってる。
うまく回らない頭で必死に考えた。
盗聴されていたということは、今この部屋のどこかにその機械が紛れている可能性が高い。
もしかしたら、ユノさんの所持品に仕掛けられているかもしれない。
犯人はここに写真やCDROMを届けているから、場所も知っているはすだ。
この部屋に居るのは危険だ。
とりあえず外に出なければ。
俺は硬直したユノさんに携帯と財布だけ持たせると、鍵をかけて足早にアパートを後にした。



「どこいくんだよ、チャンミン」
「解らないけど遠くへ。あそこは危険だ」

手を取ると、ユノさんは何も言わずに俺の手を握り返した。
手がひんやりと冷たいのは気のせいじゃない。
俺がユノさんを守る。
犯人を捕まえてやる。
恐怖心を紛らわすように、俺は立ち止まることなく歩き続けた。











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