係長 シムの桃色手帳 4

 29, 2016

出張一日目の夜。ホテルの部屋は二部屋手配したものの、片部屋はただの荷物置き場になってしまった。行為を終えた後――・・・ユノさんは僕を後ろから抱き込んだまま、パソコンを開いて本部へ報告のメールを打ち始めた。打ちにくく無いのだろうか?同じ体勢に疲れて身体を捩ると「こら。動くな」ユノさんに叱られてしまった。「でも・・・・・・ずっとこのままですか?」「だってお前、ホッカイロになりに来たんだろ」「確かにそう言いました...

夕めし時。ドフンとチャンミンが笑顔でやり取りするのを、俺は傍らで聞いていた。「チャンミン、今日の弁当も可愛いかったね。食べんの勿体無くて渋っちゃった」「はは。弁当箱、綺麗に空っぽだったけどな」「だって食欲には勝て無いもん。部活超ハードだし」最近、チャンミンはドフンの弁当作りに凝っている。数日前、チャンミンが弁当を詰めている様子をチラ見して俺は驚いた。卵焼きやハムが花型だったり、所々型抜きを使用した...

係長 シムの桃色手帳 2

 21, 2016

出張一日目。ユノさんと僕は、ソウル駅で待ち合わせた。僕が用意するよう言われたのは、通信用の末端、各支店の社員情報、営業成績などをまとめたリスト。最低限これさえ揃えば良いらしい。末端は荷物を減らす為にタブレットも考えたが、タイピングのし易さと効率の良さを優先してノートパソコンにした。その他、必要そうな物を詰め込んで持参した。これから8時半発の高速鉄道KTXに乗り、大田駅を目指す。所要時間は大体一時間...

係長 シムの桃色手帳 1

 18, 2016

あの要注意警報から数年―――僕は今も、同じ職場で働き続けている。もうすぐ三十を迎える僕は、現在係長の役職に就いている。働くうちに先輩よりも後輩が増えて、いつの間にかここまで来てしまった。係長と呼ばれる事には、未だに違和感を覚える。若い頃、係長ってもっと歳を重ねてからなるイメージで、僕なんかには務まらない重役と思っていた。それなりに頑張っているつもりだけど、歳ばかりが重なって中身は大きく変わっていない...