マネージャーとオーナー、二人の背中を送り出してから一週間が過ぎた。今日、マネージャーは旅行から帰ってくるらしい。開店まで一時間を切り、準備のため、フロアにはスタッフが集まり始めた。作業に取り掛かろうとすると、俺以外のスタッフは皆、一部に集中して何やら話し出した。―――「それでね、名前が“ディスティニー”だって」声が大きいので丸聞こえだ。一人輪の外も寂しいので、側に寄って行き俺は声をかけた。「何話してん...

翌朝。シャワーを浴びた後、二人で朝食を摂りにレストランへ向かった。スタッフに窓際の席に案内され、僕とユンホさんは向かい合わせに座った。景色を見ながら、運ばれてくる料理を口へ運ぶ。「美味しい?」「はい」「良かった」笑みを浮かべながら、ユンホさんは続けた。「今日どうしようか?パリに行くのも良いかと思ったんだけど」その言葉を聞いて驚いた。「パリですか?」「飛んでばかりじゃ疲れる?」「いえ、そうじゃ無く・・...

甘く切なく、時に死ぬほど辛い。そんな恋をした。命がけの恋なんて、他人事だと思っていた僕が。何時もの見慣れた風景も、貴方が隣にいるだけで輝いて見える。憂鬱だった一日の始まりも、二人で迎えると幸せな気持ちになれる。貴方は教えてくれた。心から愛した人に愛される。そんな奇跡が起きた時、世界はこんなにも輝き、溢れんばかりの幸福に満たされるという事を。僕は、ユンホさんに肩を抱かれたまま店を出た。駐車場に着くと...