インスパイア! 1

 21, 2014

俺には、周りの人間には見えないものが見える。所謂霊感というものを、俺は持っている。幼い頃から霊感があったので、今では浮遊霊が見えるのが当たり前になってしまった。高校に入学して三年目。冬を越え、春がやって来ようとしていた頃、俺は不思議な体験をした。『おい、お前』ベッドに寝転んで雑誌を読んでいると、誰かが俺を呼んだ。いつもの霊の悪戯だろう。そう思ってシカトした。『おい。無視するとは何様だ』「誰だよ……?...

インスパイア! 2

 23, 2014

ジミンは真面目で仕事が出来る、男の見本のような人だった。しかし二人の間に愛が芽生えてから、様々な面が見えてきた。イルと居る時、ジミンは男でありながら、どんな女よりも綺麗で色っぽかった。愛の言葉を囁くと顔を赤らめて微笑み、時には涙を流した。その容姿も心も身体も、ジミンの全てが魅力的だった。俺は夢の中でイルとなり、ジミンに強く惹かれ心から愛した。イルが早くに亡くなり、ジミンはその哀しみを胸に刻み込んだ...

インスパイア! 3

 25, 2014

「先輩……?」俺はチャンミンから目を反らすと、もう一度イルを見た。我慢してくれ。俺からそんなこと言えないよ。『ジミン、お前と愛し合えるこの時を待っていたが……残念だ』『大丈夫です、イルさま。私は充分幸せです。彼等に無理はさせられません』ジミンはイルの手を握った。しかし、俺は気付いてしまった。手がしっかりと触れ合っていないことに。すり抜けてしまった手を見て、二人は切なげに眉を寄せた。今までは触れ合う真似...

インスパイア! 4

 26, 2014

誰も居ないX橋を、俺は一人で歩く。大きな川を隔てた、陸地と陸地を繋ぐ長い橋。鮮やかな青の上を走るこの道は、どれだけの人々を繋いできたのだろう。この橋の完成の背景には、深く切ない愛の物語がある。だから美しいのかも知れない。この橋も、橋から見える景色も。『ユノ』背後から呼ばれ、振り返るとイルが立っていた。『今迄、私の我が儘によく付き合ってくれた。心から感謝する』「我が儘なんて、思ったこと無いけど」『う...