「主任、正社員にならせてくれませんか」僕の言葉に主任は驚いた顔をした。今まで散々断ってきたのに、一体どんな風の吹きまわしだと思ったかもしれない。だけど、主任は僕の肩を叩いて笑ってくれた。「ようやくやる気になったか。お前は仕事ができるのに勿体無いと思ってたんだ。しっかりやれよ」「あ、ありがとうございますっ」正社員になろうと思ったのは、ユノの存在が大きかった。幸せになる事を諦めかけていた人生にユノとい...

「コーヒーどうぞ」「ありがとう」礼を言うと、彼女はにっこりと微笑んだ。心なしか顔が赤い気がする。熱でもあるんだろうか。「体調大丈夫?」「え……?は、はい」気遣ったつもりだったが不思議そうな顔をされた。僕、何か変な事言ったかな。「あははっ」「何がそんな可笑しいんだよ」休憩時間になり、僕は同僚と食堂で昼食を取っていた。目の前で声をあげて笑っているのは同僚のボアだ。女が苦手な僕が、唯一気兼ねなく話せる。サ...

「……チャンミン」偶然出会したユノは、ネクタイを外したスーツ姿で片手に鞄を持っていた。会社帰りだろうか。近くの店から出てきた男性数名が、ユノに呼び掛けた。「ユノ、次行こうぜ。飲み足んねぇよ」同僚と飲んでいたらしい。僕とボアは残業をしてから帰ったので、今の時間帯、飲みに出歩く人達がちらほらと見られた。「わり……。先に行っててくれ」ユノがそう言うと、彼らは連絡しろよと一言残して居なくなった。僕とボアを見つ...

『……――ユノ?お疲れ様。ごめん、仕事遅くなりそうだから、先に家に行ってて。なるべく早く帰るようにする』仕事が終り携帯を確認すると、チャンミンから留守電が入っていた。明日は二人とも休みで、今夜はチャンミンの家に泊まる事になっていた。もしチャンミンの仕事が早く終わるならディナーにでも行こうかと思っていたが、難しそうだ。定時であがれる俺と違って、チャンミンは遅くなる事が多くなかなか帰宅時間が合わない。正社...

チャンミンの友人だというテミンは、チャンミンが不在だと伝えるとまた来ると言って帰って行った。「テミナが……?」「ああ、来たよ。お前に会いに」夕食を食べながら、俺はチャンミンにテミンの事を話した。「暫く連絡してなかったから……きっと心配させちゃったな」眉をハの字にしながら呟くチャンミンを見て、テミンを心から思っているのが、大切にしているのが解った。「結構、親しいんだな」「うん……。僕の事、よく理解してくれ...