「見て見て、ユンホの特集やってる!」 隣から、興奮した声が聞こえてくる。 「ほんとだ!めちゃ格好いいよね」 女子高生ふたり組が、はしゃぎながら雑誌を覗き込んでいる。 そこに載っているのは、甘いフェイスで微笑み、様々なポーズを決めるチャラい男。 俺は溜め息をついた。 コンビニの中で大声で騒がないで欲しい。 俺のように、静かに漫画を読みたい奴も居るのだ。 身体を揺らした女子高生がぶつかって来て、俺を見た途端顔...

まだ薄暗い早朝。 スパッツにハーフパンツ、ランニングジャケットを身に付け外に出る。 大きく左右に背伸びをして、屈伸を二回。 手足をくるくると回して、ジャンプを二回。 深呼吸をすると、静かな街の中へ駆けてゆく。 朝のランニングは俺の日課だ。 走る事に集中すると、心に溜まった邪念やストレスが取り払われる気がする。 朝陽を浴びると生きてることを実感するし、何だか希望が湧いてくる。 正常よりもいささか、いや結構、...

その日の夜は、仲間と集まる約束をしていた。 仕事終わり、キュヒョンとテミナが俺の家にやって来た。 酒とつまみを持ち込み、趣味の話題で盛り上がる。 何時もの流れだ。 一旦話題が切れると、俺は例の件について相談を持ち掛けた。 「俺・・・・・・最近知り合った奴が居るんだけどさ」 「え、まさか女?」 キュヒョンが興味津々に言った。 「いや、男 」 「なーんだ」 「聞けよ」 俺はイケメンと出会ったきっかけや、カフェでの出来事...

頭の何処かで、警報が鳴っている気がした。これ以上先へは進んではいけない、見てはいけないと。それでも俺は、ユンホの姿を追っていた。怖いもの見たさのような、得体の知れない好奇心が湧いていた。フロアの隅の、奥まった暗闇に目を凝らす。先程の男が、ユンホの身体を壁へ押し付け首筋に顔を埋めていた。ユンホはボンヤリとして無抵抗なままだ。俺は息を飲んでその光景を見ていた。もう一人、フラりと男が寄って来てユンホの身...

この俺が、ユンホに負けないくらいのイケメンに生まれ変わるなんて、誰もが無理難題だと思うだろう。確かに高過ぎる目標ではある。だが俺だって、何の根拠も無しに言っている訳ではない。『もっと気をつければマシになるのに』『素材は良いのに勿体無い』そんな事を、これ迄何度も言われて来た。絶対にお世辞なんて言わない家族や仲間が言うのだから、きっと本当なのだろうと信じている。実行しなかったのは、特にその必要性が無か...