ある日、楽屋でくつろいでいた時のこと。「チャンミナ、これ土産」向い合って座っていたヒョンが、俺に袋を差し出した。見覚えのあるその袋を見て、何処の土産なのか直ぐに解った。「ディズニーランドなんて、いつの間に行ったんすか」「こないだ友達と。ちょっとだけな」「ふーん」俺もプライベートの事なんていちいち報告しないが、今回は丸っきり何も知らせずに出掛けたのが少しだけ不満だった。ディズニーランドっていうと特別...

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black or white

 18, 2014

夜になると、その闇はやってくる。闇は意志を持ち、標的に向かって襲いかかる。闇に飲まれたら最期だ。小さい頃、目の前で親族が襲われたのを目にした時は、ショックで気を失った。僕は家族の手により何とか闇から逃れたが、あの時の光景は今でも深く心に刻まれている。僕は幼くして知った。自分に課せられた、受け入れがたい悲しい運命を。小さい頃から、夜が大嫌いだった。回りの子供達は庭に寝転んで星空を楽しそうに眺めている...

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君に送るサランヘ

 16, 2015

下積み時代から暮らしてきた俺らの宿舎は、ある時まで一番安らげる場所だった。何時からか痛い程の沈黙が落ちるようになり、俺達は今までのように過ごすことが難しくなってしまった。明るかった未来図が、次第に色を失っていくのを感じた。そして俺は、四人の兄のうち三人もの兄を失った。当然、これ迄のように活動することはできなくなった。一対四から一対一になり、一人の兄とふたりきり過酷な状況に置かれた。慣れない環境で理...

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俺のヒョン

 30, 2016

ステージが始まる直前の事だった。つい先程まで傍に居たユノの姿が、突然見えなくなってしまった。もうすぐ幕開けだというのに、行き先も告げずに一体何処へ行ってしまったのか。「ヒョン?ヒョーン!何処ですかー!」叫びながらステージ裏を駆け回っても、姿も見えなければ返事も無い。「くっそ。こんな時に何考えて・・・・・・」ひとり苛ついていると、急に目の前が真っ白になって目が眩む程の光に包まれた。そして次に目を開けた時、...

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団地妻 ~ある昼下がりの閑談~

 08, 2016

―――そこの貴方。もし時間があるのなら、僕の話し相手になって下さいませんか?丁度、暇を持て余していたところなんです。朝旦那様を送り出した後は、一日中家に篭りっきりなので・・・・・・ああ、付き合って頂けますか?ありがとうございます。そうですね、何を話しましょうか。僕の旦那さまの話題でも良いですか?え?まず僕の話を聞きたい?そんなに語す事はありませんが・・・・・・まあ、良いですよ。僕の名はシム・チャンミンと申します...